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寄藤文平「絵と言葉の一研究」

 最近読んだ本。

 寄藤文平 「絵と言葉の一研究」(美術出版社)

 副題は、「『わかりやすい』デザインを考える」。デザイナーである著者が、
どんなふうくデザインを考えるのか。自己の体験も踏まえ、その思考過程を
分析した本。

 「研究」っていうと堅苦しい感じですが、でも難しい言葉づかいはなく、
ふんだんにイラストも用いて解説しているので、読みやすい本です。ただ、
帯書きで著者が、「正直、わからなくなってきました」って語っていること
からも分かるように、けっこう内容は深いものがあります。

 へぇ~、本職の人はこんなふうに考えてデザインしているんだ!

 そんな発見をさせてもらえる本でした。印象に残った言葉を、ちょっと
引用。

 ……
 水素と酸素が結合すると、水素とも酸素とも違うまったく別の性質のもの
になる。
 これとよく似たことが絵と言葉にもいえるように思う。絵と言葉は同じでは
ない。絵には絵の、言葉には言葉の性質がある。そして、絵と言葉がきちんと
結びつくと、絵でも言葉でもない「なんか変なもの」になるのだ。
 ……


 私はどっちかというと、「言葉」に頼る人間。自分の考えを表現するのに、
絵よりも言葉の方がスムーズにいくって感じています。だから、絵って
いうのは、言葉で説明するモノの補助的な役割って思っていました。

 でも絵と言葉を同時に見せられると、確かに、言葉だけを受け取った
時、絵だけを受け取った時と比べ、まったく違う印象を受けるような……。
それが、著者のいう「なんか変なもの」ってものの正体かどうかわかり
ませんが、絵と言葉の結びつきってのは、なかなか面白い研究テーマ
だと思いました。

 生活にあふれるさまざまなモノのデザインを自分なりに見直すキッカケ
になりそうな本。デザインの仕事を専門にされている方だけでなく、
一般の方にも楽しめる本だと思いますよ。
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ヴィノグラードフ クジミン「論理學入門」

 ヴィノグラードフ クジミン 「論理學入門」 

 西牟田久雄・野村良雄の訳で、青木文庫から出版されている本。「論理」
というものについて、小難しい議論を繰り広げている本です。読んでも、
ちっとも面白くありませんw

 何で、この本を紹介したかといいますと、人気小説「ビブリア古書堂の
事件手帖」の中で紹介されている本だから。ビブリア最新刊を紹介した
ついでに、ビブリアに関連するこの本も紹介しようって思ったわけ。
 私も、ビブリアを読んでこの本のことを知り、機会があったら読んで
みたいな~って思っていた本だったわけです。

 で、意外にも簡単にその機会は早くに訪れ、昨年買取った本の中に、
この本はありました。読んでみたのですが……う~ん、何ていうか……
ツマラナイ。。。分かりきったことを延々、難しい言葉で説明していたり、
かと思えば、

???????

 って、頭にクエスチョンマークがいくつも浮かぶようなことを、平気で
大前提として書いていたり……。たとえば、こんな記述があって驚き
ました。

 先進的なマルクス=レーニン主義理論と、レーニン=スターリンの事業は
正しいという意識によって武装されているソヴェト人は、外国の「科学」や
外交の代表と責任ある、かつ複雑な論争においていつも勝利者となって
いる。このことのはっきりした例は、国際的な会議や協議会でのソヴェト
代表のみごとな演説である。このような演説は、論議のまととなっている
問題の本質についての深い認識の模範であるばかりでなく、またおかし
がたい力をもった論理の模範でもある。……


 ソ連は崩壊し、冷戦は西側諸国の勝利に終わったというのが、歴史的
事実だと思うんですが……。まぁ、この本の出版当時はソ連も健在でした
し、そのあたりはツッコミ無用としても、それでも当時からソ連の代表が
論争でいつも勝っていたっていうのは、明らかな誇張。演説の上手・下手
だって、論理的整合性とは無関係です。ヒトラーは多くの人を魅了するほど、
演説が上手かったわけですが、今の時代で彼の主張を「正しい」と思う
人はほとんどいないでしょう。

 自分こそが正しく、他のものは間違っているという独善的な人間の書いた
本は、正直、あまりタメになるものとは思えません。それでも、論理学一般の
記述に関していえば、まぁ「入門」って名乗っているだけあって、学ぶところも
あるのかも。ところどころにある時代を感じさせる記述に目をつむれば、
論理学を学びたい人にとっては、有用な本かも知れません。

 絶版になっていますので、新刊書店では購入できません。学術系の文庫を
多く揃えている古書店を探せば、見つけやすい本だと思います。ご参考
までに……。

三上延「ビブリア古書堂の事件手帖」(6)

 最近読んだ本。

 三上延 「ビブリア古書堂の事件手帖」(6)

 人気作品の最新刊。年末に買いだめた本の中の1冊です。本にまつわる
謎を解き明かしていくって感じのミステリー。ビブリオミステリーっていうそう
です。

 各巻独立の構成にはなっていますが、6巻では、5巻で与えられた伏線を
もとに話が進んでいる部分もありますので、できれば最初から読み進めた
方が楽しめるかと思います。(で、さらに6巻のエピローグでは、おそらく
7巻につながっていくであろう伏線のようなものが与えられます)

 最新刊は、これまでの巻に比べ、ちょっとミステリーの要素が薄くなって
いるように感じました。しかも、「古書」に関する謎解きっていうよりも、
一般的なミステリーに近い感じ。これまでのファンの方には、少し消化不良
感の残る内容だったんじゃないでしょうか? 正直、私はちょっとガッカリ
でしたね。でも、作風を変えることで新規読者を獲得したいって思惑だった
のかもしれません。だとしたら、これぐらいがちょうどいいのかも。

 そういえば、この作品。数年前にドラマ化された時には、そのキャストに
賛否両論巻き起こりました。特に、主演女優。篠川栞子を演じる剛力彩芽
さんが、あまりにもイメージと違うって意見が多かったみたいです。

 作品の篠川栞子は、ロングヘアで内向的な性格。大して、剛力彩芽さんは
ショートヘアで活動的なイメージですから、なるほど、そういう意見が出る
のも、一理あります。

 でも、作品イメージに合わせて配役を選ぶってのも、もちろん重要なこと
でしょうけど、役者の個性で作品イメージを作り上げていくってのも大切
なこと。そういう意味では、あのドラマ、「イケてる」作品だったんじゃないか
って思っています。

 というのも、あのドラマを見て以降、私が「ビブリア~」を読み進める時には、
どうしても剛力彩芽さんのイメージで読んじゃうんです。栞子の母は、安田成美
さんのイメージですね。でも、主人公の五浦大輔は、AKIRAさんじゃなく、
あくまで自分を主人公に投影して読み進めるんですがwww

 それはともかく、第6巻。個人的には、もう少し古書のエピソードとかを織り
込んでもらってもよかったかなって思いますが、まぁそれなりに楽しめる
本にはなっていると思います。

玉木えみ「少女系きのこ図鑑」

 お薦め本、紹介。

 玉木えみ・著 飯沢耕太郎・監修「少女系きのこ図鑑」

 いっぷう変わったキノコ図鑑です。107種のキノコを収録しているんです
が、そのイラストがどれも可愛らしい! 「少女系」ってネーミングだけ
あって、色んなきのこを女の子に擬人化して描いているわけです。

 晩秋。山にはキノコが生えていますが、いざ山で見つけたキノコをこの本で
調べようと思っても・・・う~ん、それはちょっと難しいかな? 「図鑑」って
名前は付けられていますが、写実的に描かれているわけじゃないですし、
調べ物をするには不適だと思います。

 むしろ絵を楽しむための画集、イラスト集と思われた方がいいでしょう。でも、
一応、「図鑑」って銘打っているので、ごく小さくですが写実的な絵も掲載されて
いますし、各キノコの説明はしっかりされています。

 各キノコのイメージは、著者の玉木さんの感想によるものでしょう。ドクツルタケ、
カエンタケ、シャグマアミガサタケといった毒キノコは、もう見るからに魔性の女。
絶対に男をたぶらかすような奴だなって感じ www でもベニテングタケって
毒キノコは可愛らしい少女として描かれています。

 このベニテングタケ。私は以前、京都で群生しているのを見たことがあるん
ですが、すごい光景でしたよ。もう大きなキノコがアチコチにボコボコっと。。。
木の周りに輪を描くように生えるんですが、これを「菌輪(きんりん)」って呼び
ます。西洋では、この輪っかのことをフェアリーリングって呼ぶそうで、輪っかの
中で妖精が踊っているって言い伝えがあるとか。そういうメルヘンチックな伝承も
考慮して、ベニテングタケは可愛い女の子として描いたんでしょうね。

 この本の、もう一つの見どころ。それは、そのキノコの登場する文学作品からの
引用が載せられているってところ。イラスト集として楽しんで、図鑑として勉強して、
しかも文学作品の引用もあって・・・。1粒で2度おいしいどころか、1冊で3度楽しい
本に仕上がっています。

 楽しい本なので、ぜひ、読んでみてください。

吉田智子「江戸創業金魚卸問屋の金魚のはなし」

 お薦め本、紹介。

 吉田智子「江戸創業金魚卸問屋の金魚のはなし」(洋泉社)

 筆者は、金魚の卸問屋に嫁いだ女性。それまで特に金魚と縁のある
生活をしていたってわけではないそうですが、金魚に携わるようになって
金魚の魅力にドップリ浸かった様子。金魚の鑑賞法や、歴史など、興味
深い話が記されていて、金魚を飼ってみたいって思わせる本です。

 ホント、私って影響されやすいタチですから・・・こういう本を読むと、自分も
金魚を飼いたいな~なんて思うんです。買取が不調に終わったとか、業者市で
いい品を落とせなかったとか、全然売れなかったとか・・・いろんな辛いことが
あっても、ユラユラと泳ぐ金魚の姿を見ていたら、確かに癒されそうだな~
なんて思うんです。

 小さな金魚鉢で十分。簡単に飼えますよってことですが、でも水は本の
天敵。万一、私が室内で躓いて金魚鉢を倒してしまったら、金魚も本も
両方ダメになるってことも予想されますので・・・残念ながら、どんくさい
私は、本でのみ金魚を鑑賞するのが良さそうです (^_^;) でも・・・将来的
には、チャレンジしてみたいな~なんて思ったりして。。。

 金魚は日本の伝統文化。この文化を絶対に絶やしたくないと、筆者は
語ります。

 ・・・とにかく今は、“スピード”が重視される時代です。もちろんこれも
大切なこと。ただいつもスピード重視の社会に身をさらしていたら、何か
大切なものが忘れ去られてしまうのではないかな、疲れてしまうのでは
ないかなと思うことがあり、心配になるのです。・・・

 私が思うに金魚は“究極の癒し”です。尾びれをゆらゆら揺らしながら
泳ぐ姿に見とれて時間を忘れ、規則正しく並んで、きらきら光る鱗に心
奪われ、つぶらな瞳に思わず心がキュンとなる、その時間そのものが
心を浄化してくれる癒しの時間です。・・・

 ・・・私は7代目を継いだからには、今再び金魚の素晴らしさをひとりでも
多くの人に伝えることが使命です。


 こう語る筆者の使命感には、実に共感できるものがあります。私も本を
扱う人間として、一人でも多くの人に読書の魅力知ってもらいたいって
思いますし、そのために自分のできることをせねばって使命感も感じて
います。

 金魚と本。全く別ジャンルですが、いいものを後世に伝えていくには、
それなりの努力が必要ってことは同じ。そういうこともあってか、何だか
妙に筆者に感情移入できて、私は楽しく読めました。

 金魚のことを全く知らない初心者はもちろん、卸業者として働く筆者の
体験談も語られていますので、愛好家の方にとっても、楽しめる本じゃ
ないでしょうか。昨年夏に初版が発行された本。まだまだ新刊で入手
出来ると思いますので、興味がありましたら、ぜひ、ご一読ください。
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