スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

バラ売りについて

 百科事典をバラ売りするなんて、論外。非常識もいいところです。そんな
ことは売り出していた大手新古書店自身、よく分かっているはず。なのに、
なぜバラ売りしたのか? これには、ちょっと不思議なトリックがあります。

 実は、古書店の立場から言わせてもらえば、まとめ売りよりも、バラ売りの
方が簡単ですし、利益も大きくなるのです。このことについて、ご説明します。

 まず、まとめ売りよりもバラ売りの方が簡単という点。これは、消費者心理
というか、買い手の経済力の問題。バラで売り出せば、セットで売るよりも、
商品単価は安くなります。ですので、消費者としては購入しやすくなる。
ってことは、店の立場からすれば、バラ売りの方が売りやすいわけで、
売るのが簡単という理屈になります。

 それに、バラ売りだといちいちセットをまとめる手間もかかりませんし、場所も
取りません。バラで売り出してOKなら、バラ売りしたいって店側の気持ちは
分からないでもありませんね。

 次に、バラ売りの方が利益が大きくなるって点。これは、ちょっと不思議に
思われるかもしれません。だって、バラ売りの方が単価は低いわけです
から。でも、ここにも数字のトリックがあるのです。

 たとえば、本日私が見かけた108円の百科事典を例に考えてみましょう。
これを店で全巻購入したとします。仮に全30巻のシリーズだとしたら、
購入金額は108円×30=3,240円。
 一方、セット売りの場合は、この値段で売り出すと、売れ残る公算が高い
のです。1冊あたりの単価を計算して、バラ売りの値段と同じでしたら
「お得感」に欠けるので、なかなか売れにくいんですね。バラ売りの値段と
セット売りの値段が同じくらいでも売れるのは、人気漫画のシリーズなど、
一部の商品に限られます。このへんも微妙な商品者心理って言えそうです(^^)

 要するに、店としては「お得感」を演出するため、全30巻のシリーズだったら、
バラ売りの金額3,240円未満で売り出さないとダメなわけ。たとえば、2,500円
くらいでしょうか。
 ってことは、全部売れた場合、バラだと3,000円ほどの売上高が見込めるけど、
セット売りだと2,500円ほどしか見込めない。つまり、その差額分、店が損を
するわけです。(ただし、これは時間をかけても、全商品が売れるって仮定での
計算。バラ売りして売れ残ったら、もはやセット売りするって選択肢がなくなる
ってリスクはあります。でも、百科事典のように、どうせ売れ残る可能性の
高い商品なら、バラ売りしてでも少しでも現金収入を上げる方が大事だって
考え方もあるでしょうね。残ったら、廃棄処分するだけだってことです)

 ネット販売の場合、1冊ごとに送料差額を儲けるってセコイ(?)商売をやって
いるお店もあります。そういった場合も、セット売りよりバラ売りの方が、利益は
出せるってことになりますね。

 以上のような理由から、古書店ではまとめ売りできる商品も、あえてバラ売り
する場合があるのです。文学全集や画集などは、バラ売りなら、売りやすいけれど
セットにすると売れにくいって商品の代表格でしょうね。不思議なことですが。

 逆に、全巻揃っていることで、バラの値段よりも高額で売り出せる場合もあります。
このへんは、ケース・バイ・ケース。
 たとえば、日本古書通信2014年7月号に、平凡社の東洋文庫の既刊揃のセットが
掲載されていました。価格は178万2000円。1冊あたりの単価は、およそ2000円。
それぐらいの古書価で取引されている本もありますが、ずっと安い価格で売り出されて
いるものもありますので、これはバラで買うよりも高額なセットって言えそうです。でも、
既刊分を全部揃えるってのは、なかなか至難の業ですので、高額な商品ではあり
ますが、金額相応の価値はあるって言えるでしょう。もし私が、この商品を扱う
としても、ここまで揃えたなら、絶対にバラでは売りたくないですね。納得いく金額で
じっくり売り出します。

 バラで売った方が、少しでも早く現金を回収しやすい。でも、セットの方が価値がある
ものは、なるべくセットで扱っていきたい・・・。バラ売りするのか、セット売りするのか。
こういったところにも、その店のポリシーを見ることができるものなんです。

スポンサーサイト
コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。