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栗本慎一郎「パンツをはいたサル」

 お薦め本、紹介。

 栗本慎一郎「パンツをはいたサル」

 随分大昔の本ですが、ベストセラーになった本なので、ご存じの方も多い
はず。著者は栗本慎一郎。本職は経済学の学者ですが、政治にテレビに活躍
された人なので、マルチな才能の持ち主って言えるでしょうね。

 学者の書く本ってのは、堅苦しく退屈なのが多いもの。でも、この本は
読みやすいですよ。ユーモラスな口調で、だけど時に痛切な批判も交えて
「人間」という生物を考察しています。

 人間は、「裸のサル」であるというデズモンド・モリスの所説は、部分的
にはたいへんおもしろいが、人間における根本的な問題たるエロティシズムの
存在や、道徳の堅持とその侵犯というおかしげな「行動」については、ふれる
こともできなかった。それに、人間はサルが裸になっただけでなく、パンツを
はいて、それを脱いだり、脱ぐ素振りでオスを誘ったり、おかしげな行動を
システマティックにとっているではないか。

 私流に言わせてもらえれば、これらの行動は、人間にとって根本的な特徴
であり、その他の生物からよく似た行動をさがして、対比してみせてくれる
生物学者の説明は、いずれももうひとつ説得性がなく思えた。そこで私は、
これらの「行動」が制度化されたものを、シンボリックに「パンツ」と表現
し、人間はサルが裸になったものではなく、サルがパンツをはいたものだと
して説明することにした。そうしたら、法律や経済だけでなく、人間の人間
たる所以の理性的だったり、馬鹿げていたりする、あらゆる行動がきちんと
説明できたのである。
(「パンツをはいたサル」まえがきより)


 要するに、「行動」が制度化されたものをパンツって表現しているって
わけですが、本書では、法律、お金、道徳、性などのパンツについて詳しく
解説しています。

 法学部出身の私としては、法制度の関する記述については、ナンセンスに
思えるツッコミどころ満載の表現も見受けられましたが、まぁ全体的には
面白かったです。なかなか考えさせられる鋭い指摘もあります。

 ヒトの愚劣な行為、戦争は、動物と同じ攻撃性に基づいているとともに、
ヒトの「叡知」そのものによって拡大され、残虐度を加えていくのである。
洞察的行動があるから、「あいつらはこんな兵器を作っているのではないか。
それに備えるには、この兵器を作らなくては……」ということになり、
核廃絶、デタント推進はかけ声だけになって、果てしなく軍備はエスカレート
していくのだ。なにが「万物の霊長」だ。

 筆者はこういって、人間の知性を認めつつも、でも本当に賢いっていえる
のかって懐疑的な目を向けています。

 大量破壊兵器があるからって言って、おっ始めたイラク戦争。でも結局は
何もありませんでした。数十年前のこの本の記述は、今でもズバリ的中して
いますね。

 我が日本だって同じ。尖閣などの離島防衛が危ないかもってことで、国有化
したり、警備を強化したり。未来のことを考えるって人間の知性があるために、
周辺諸国との緊張を招いたりもしています。

 戦争はいけない。平和が大事だ。そんなことを言葉でいうのは簡単ですが、
そもそも戦争をしている人間の本性というものをしっかり理解しておかないと、
言葉に説得力は生まれません。

 そんな意味も込めて、ぜひ薦めたい本です。ベストセラーになっていますの
で、そんなに古書価も高くなく、比較的入手しやすいです。興味ある方は、ご
一読を。
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