スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

1円の本を買いますか?

 ネット通販大手のアマゾンでは、多くの新刊本、古本が売られています。
プロの古本屋の中にもアマゾンを利用して販売している方は、けっこう
いらっしゃいます。

 このアマゾン・・・販売価格が、ネットでの取引相場の形成に一役買って
いたりしますから、ネットショップにとっては無視できない存在。リアル
店舗を持つ古本屋にとっても、あまりにもネットでの価格とかけ離れて
安い値札を貼ってしまっていたら「セドラー」に狙われるので、やっぱり
無視できないはず。

 ホントはアマゾンで売り出している価格は、何も実際にその値段で
売れたっていう実績を示すものじゃなく、売り手側の希望価格なんです
が、それでもまぁ参考程度にはなるもの。絶対視はできませんけどね。

 ところが、このアマゾンでは、時にとんでもない値段で売られている
本を見つけることがあります。試しに今手許にある本を、検索して
みました。

 高木徹也「なぜ人は砂漠で溺死するのか?」

 4年ほど前の本。法医学者が、人間のさまざまな死因について分かり
やすく、かつ面白く書き記しています。人の死を「面白い」ってのは不謹慎
な気もしますが、でも面白い本ですので、ご一読をお勧めします。

 この本、アマゾンでは、新刊本でも中古本(古本)でも販売しています。
新刊本の値段は799円。ところが古本の値段は、何と1円です! 
(いずれもブログ更新日現在の値段。古本は最安値の値段)

 1円なんかで売って、儲けになるのかな? そんな素朴な疑問もある
ことでしょうが、実際には購入者は1円だけでなく送料として257円を
支払うってことになっていますので、この送料で稼ぐ仕組み。

 つまり257円+1円の計258円をお客さんから受け取るけれど、大口
特約などで運送屋と安く契約できているお店ならば、そんなに送料が
かからないこともあるわけで、そこの差額が利益を生むって理屈。これは
お客さんを騙しているのでも何でもなく、アマゾンを利用して購入する人は、
そういう条件に同意して購入しているので、問題ないってことです。

 でも送料の差額で稼ぐ・・・ってよくネットでは紹介されていますが、本当に
稼げるのかどうか、個人的には疑問に思っています。というのも、本を稼ぐ
には仕入が必要ですし、出品する手間も必要。さらには売れたときに、
梱包して発送する作業も必要。これらの仕事を、店の誰かがやらなきゃ
いけないわけで、仮にバイトを雇うとしたらその人件費も、258円の
売上の中から捻出しなくちゃいけません。

 バイトってのは時給制。本が売れようが売れまいが、支払わなきゃいけ
ない金額は同じなわけで、すると本は売れないのに人件費だけかさむ
ってこともあり得ますし、売れたら売れたでたったの1円本というのでし
たら、本当に「儲け」になるのかどうか・・・。テキパキと作業をこなす
バイトだったらいいですけど、ドンくさい人間に入ってこられたら、売れば
売るだけ大赤字なんてこともあるんじゃないかって思っています。

 ま、いくらで本を売るかなんてことは、その店の勝手。私がとやかく
言うこともありませんが、それでも本当にそんな売り方をしていいのか?
ってのは、全ての古本屋が考えるべき問題だと思っています。

 知り合いのある古本屋さんは、アマゾンを利用して販売もしていますが、
欲しい本を購入することもあるとのこと。でも、その方は1円本は買った
ことがないとおっしゃいます。

 そんな値段を付ける古本屋で、買いたくない!

 ・・・ってのが、その理由。やっぱり本に携わる人間としては、そういう高い
問題意識ってのは必要なことだと思います。

 どんな本であれ、その本を出版するまでには、執筆、編集、装丁、印刷、
製本・・・実に多くの過程で、多くの人がかかわっているものです。いわば、
本は、そういった方々の協同成果。さらにいえば、こういった本の出版
活動ってのは、人類の英知を後世に残すための文化活動としての側面も
あります。

 本をいくらで売るかってのは、その本の価値をどのくらいに評価している
かって店主のポリシーが垣間見える部分。いくら市場にあふれかえっている
本だからといって、1円なんて値段を付けるようだったら、それは多くの
人が携わって作られたその本に対する敬意が欠けている・・・私も、そう
思いますね。

 それに、古本屋は「本」を売るのが商売であって、送料差額で儲ける商売
ではありません。運送屋じゃないんですから。キッチリと本体価格だけで
利益を上げられないようなら、やっぱりそれは古本屋としてはどうなんだ
ろう? って思いますね。

 そもそも1円で売れるってことは、仕入値はタダなんでしょう。お客さんから
無料で引き取った、市でツブシの本を拾って来た・・・他にも色々ありますが、
古本屋が本を無料で手に入れる機会ってけっこう多いもの。無料で仕入れ
たならば、1円ででも売っていいかって判断をしちゃうんでしょうね。

 いくら1円という安い金額で売り出しても、買う人がいなけりゃ売れません。
数多ある1円本を見ていると、やっぱりそういう値段で買う方も多いんでしょう
ね。その本を欲しい人にとっては、同じ本が1円で売っているのと、100円で
売っているのとでは、そりゃ安い方がいいに決まっていますね。別に1円で
売っているからといって、商品を送らないとか、あまりにも劣悪な本だったって
こともないでしょうから。というわけで、古本屋の安売り競争は、なかなか簡単
には、なくなりません。

 一般のお客様には、安い本を買うな! って言うわけにいきませんが、でも、
それを売る古本屋の側では、もう少しモラルのある値付けをしてもいいんじゃ
ないかって気もします。
スポンサーサイト
コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。