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名人に定跡なし

 コンビニで「週刊将棋」の今週号を買いました。「週刊将棋」は、将棋の
専門誌。将棋界の話題、詰将棋や棋力向上のための講座など充実
した内容で、毎週発行されています。税込350円。駅売店やコンビニの
新聞売場で購入できるほか、定期購読も可能です。

 将棋を趣味とする私は、毎週欠かさず、この「週刊将棋」を購読。なか
なか将棋は上達しませんが、せめて現状のレベルは維持したいと考えて、
タイトル戦の棋譜など暇を見つけては並べるようにしています。

 さて、今週号。先月(10月)までのプロ棋士の成績一覧が載っています。
ただのデータなんで別にどうってことない内容なんですが、ふと目を見張る
ものがありました。

 それは、羽生名人の成績。

 羽生善治(はぶよしはる)

 今から20年ほど前のこと。将棋を知らない人の間にも、この人の名前は
知れ渡りました。前人未踏の7大タイトル全冠同時制覇。テレビCMへの
起用、女優との結婚・・・将棋という少しマニアック(?)な世界の人で
ありながら、ワイドショーでも取り上げられ、一躍時の人となっていました。

 7冠王に輝いた当時、勝率は8割を軽く超えていましたから、勝って当然、
負けた方がニュースになるってぐらいでした。どんな不利な局面でも、
妙手、勝負手を繰り出して、いつの間にやら逆転してしまう・・・その不思議
な手には「羽生マジック」なんて異名がついたものです。

 7冠王達成当時は、25歳。バリバリの指し盛り、全盛期ですが・・・それ
から20年近くが経った現在、若手の台頭を許して、ヒィヒィ言いながら
現役を続けているかというと・・・全然、そんなことはなく、今でも第一人者
としての地位を失っていません。

 7冠王であった時期こそ短かったものの、その後も、何度もタイトルを
奪取、防衛し、これまで獲得してきたタイトルは90期。7冠時代にも、
大山名人のタイトル80期を抜くことになるとは、ほとんどの人は予想
していませんでしたが、あっさりと記録を更新し、タイトル100期の
大台も夢ではなくなっています。

 何がすごいって、一つタイトルを失っても、すぐまた他のタイトルを奪って
・・・ってなことを繰り返して、何と20年以上もの間、羽生さんは段位で
呼ばれたことがありません。低段時代に初タイトルの竜王を取った後、
防衛戦に失敗し、そこでの数か月間がおそらく唯一のタイトル空白期間。

 今なおタイトルホルダーで、しかも7つのうち4つを保持しています。うち、
1つは「名人」というビッグタイトル。どれだけ永世称号を持っていても、
タイトル獲得数が多くても、1年後の防衛戦で負ければ失冠するわけで、
今4冠の羽生さんだって、1年後には無冠になっている可能性もゼロ
ではありません。

 しかし、今、将棋界で、1年後の羽生さんが無冠になっている姿を
想像できる人は、おそらく1人もいないでしょう。たとえ1つ、2つタイトル
を失っても全部失うってことはないだろうし、挑戦権を獲得すれば、
もう1つ、2つの上積みだってあるんじゃないの? って思えてきます。

 強い若手がいないわけでもありません。渡辺明前竜王(現在2冠)には、
竜王戦で手痛い敗戦を経験しています。ついこの間終わったばかりの
王座戦では、豊島将之七段が奮闘しました。
 しかし彼らも、羽生さんの生涯成績を抜くことはおそらく不可能じゃない
でしょうか? それだけケタ違いに、羽生さんの強さは違います。

 羽生さんも、いつもいつも強かったわけではありません。20代の頃は、
勝率8割以上あって当たり前って状態でしたが、30代に入ると勝率は
6割台に低迷(といっても、大半の棋士は勝率6割を達成できないのです
から、「低迷」って言い方は失礼かもしれませんが)。勝率8割時代に
比べれば落ちてきているのですから、やはり羽生さんといえども年齢に
よる衰えはあるんだな~って思っていました。

 ところが、40代半ばにして今期は27勝8敗(10月末まで)。勝率7割
7分1厘です。棋士になってからの生涯成績がここまで勝率7割2分3厘
ですから、年齢を重ねた今になっても勝率を上げてきているっていう
すさまじさです。

 ちなみに通算勝数は1297勝。これは、先輩である谷川浩司九段の
1241勝を抜いていますし、現役最多勝利数を誇る加藤一二三九段
(1317勝)にも迫る勢いです。勝率の差を考えたら、下手すりゃ今期
中に加藤九段は勝ち星数で並ばれちゃうかもしれません。

 いやはやすごすぎて、言葉も出ないですね。ちなみに、生涯勝利数の
記録は大山康晴十五世名人の持つ1433勝。20年前には、この記録も
抜くのは難しいって言われていましたが、これも十分射程圏内に入って
います。

 まぁとにかく、羽生名人ってすごい人。そんなことを感じた記事でした。

 将棋の世界では、「名人に定跡なし」って言います。常識に捉われない
柔軟な発想をしてこそ、棋界の頂点に立てるってこと。実際、羽生さんは
これまで数々の新手、妙手を披露して、皆を驚かせてきたわけです。

 そういう常識に捉われない心・・・実は、古本屋にとっても大事なこと
だと思います。誰も今まで見向きもしなかった本の価値を発見する、
忘れられつつある作家の良さを再認識する・・・こういったことは、売れ筋
商品にばかり目を奪われていたら、できないこと。

 古本屋にも定跡なし

 どんな本が売れるか、いくらで売れるか。過去の経験は貴重なものでは
ありますが、絶対的なものじゃありません。目の前の本にしっかり向き
合って、ピュアな心で本の価値を判断したいって思いますね。

 将棋界と古書業界。住む世界は全く違いますが、これまでの常識を疑い、
新たな価値観を創造する・・・そういった羽生名人の姿勢には、大いに
学ぶものがあります。


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